潜水艦は何処へ行くのか。
海は深く、底知れぬ。
海溝の奥底に、異次元の世界が広がっている。
SF小説の巨匠ジュール・ヴェルヌ死後120年の節目に、名作『海底二万リーグ』にインスパイアされた作品。
時は1889年初夏、世間を騒がす海獣の正体は潜水艦ノーチラスであった。ノーチラスの任務は古文書に書かれていたパラダイス(約束の地)を探ること。日本海溝を数キロ潜った先、測的長が発見した音は宇宙空間から聞こえていた。つまり深海に宇宙へと続くワームホールが開いていたのだ.
その音は、二十世紀に入り「詩」であることが分かり、重要な福音が解明される。その宇宙の彼方に地球の起源と似たパラダイスがあり、そこで人類は幸福に永遠に生きられるのだ。
二十一世紀に入り、ようやく深海と宇宙空間両方で航行可能な「宇宙潜水艦ダブリュー」が開発されるも、福音はもはや日本海溝からは聞こえず、七つの海の海底をしらみつぶしに探る旅が続いていた・・・。
これは、オーストラリア南東部シドニーに寄港中の潜水艦で、多様な乗組員達が集う休憩室での話。
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